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「成功する」塾選び 10の観点

学習塾の経営コンサルタントが教える、正しい塾選び

5.面談で聞いてほしいこと

面談に行って、聞かされることはその塾の宣伝です。どの塾も、自分ができる最良のものを商品として売っているので、宣伝はすべていいように聞こえます。だから、こちらから聞いていかなければ本当のところ、塾による違いというのは見えてきません。私も経験の中で、面談で聞かれて困った経験もあります。自分が心からこのコンテンツは良いと思っていないものを売らなければいけない時もありました。基本的には先生の熱が入っているところはその先生が信じているところです。宣伝として聞いていても面白い先生もいます。私は若いころは自分の授業の再現というぐらい授業の宣伝をしていました。それは全国1位になったプライドもあったし、自分の授業は最高だと信じていたからです。しかし、一生懸命宣伝しても空しくなる時がありました。私はただ自分に酔っているだけではないか、塾の売り込みではなく、自分の売り込みしかしてないではないか、と考えたのです。先生によっては面談は話すものではなく、聞くものだという方もいます。人の話を聞くのが上手な人と下手な人といますが、私は聞くのは得意ではありませんでした。それでも、研修で面談は聞くものだ、やたらと宣伝しているのは間違いだとちょうどいいタイミングで学んでしまったので、聞く練習をしました。聞くトレーニングは、自分がこの人は聞くのが上手だなと思う人の真似をするのです。真似してやってみると、ああ、この質問のおかげで相手は話しやすくなるのだな、この相槌のおかげで相手は話してしまうんだなと感じるものがあるのです。その気付きを実践していき、理論化するのです。それについてはまた別の機会で話しましょう。私の結論は、宣伝は必要ないけれども、話をすることは大事、聞くことも大事ということです。それでも、塾の先生によっては宣伝をする人もいるでしょうし、システムの説明ばかりする人もいるでしょうし、質問して、こちらの聞きたいことを聞こうとしない人もいるでしょう。であれば、質問していきましょう

それでは、どんな質問をしますか?

リストアップしてみましょう。

人の話を聞く第一歩は質問力です。今日私はレストランの店員さんに、お皿を片づけるついでにいくつか質問されました。

「塾の先生だったんですか。」「はい。」

「いいですね。」「いやいや。」

「何を教えていたんですか。」「英語とか数学とか国語とか社会とかいろいろです。」

「ほとんどぜんぶですね。すごいですね。」「いやいや、たいしたことないんですよ。」

と、私は質問されるとは思わなかったので、気の利いた答えができなくて、とても恥ずかしくなりました。それでも、その後は何かあればその店員さんに来てほしいと思いましたし、お店を出るときはその人においしかったですとどうしても伝えたくなりました。とても良い気分で、またそのお店に絶対に行こうと思っています。

そんなことはさておき、リストアップはできましたか?

ちなみに、あるお母さんからこんな質問をされました。転職して2日目で、45歳の塾講師歴20年以上のベテラン講師が、ぜひやってくれと言ってきたのです。最初からこの会社は私のことを信用しているのかと思い、張り切って面談に臨みました。

この塾の売りは何ですか?他の塾とは何が違うのですか?

ストレートです。しかも、転職した直後だったので、まだ自信を持って塾全体の売りはよくわかっていませんでした。私は絶対にウソはつきたくないので、塾の教育理念を具体的な例をつけて話し、自分の理想もつけたしました。それでもまったくたいしたことは言えなかったのです。

「この塾の教育理念はまず第一に自ら考え、自ら行動し、問題を解決する力を養うことです。数学の問題に自力で答えるというわけではなく、自分の理想や夢を見つけそれに向かって力強く進めるように支えたいと考えています。第二に、授業を大事にしています。授業はただの知識の伝達ではなく、問題解決の手段を手に入れる場でもありますし、私たちの経験を伝える場なので、長編の本を読むのと何も変わりません。だからこそ、研究していますし、よりよい授業を提供できるよう私たち自身成長していくようにしています。あとは、何より楽しく授業をすることですね。あははと笑っているうちにできるようになれば、本人にとって勉強は苦痛ではなくなりますからね。第三に、生徒本人との対話を大事にしています。会話をしないと、性格もわかりませんし、考えていることもわかりません。悩みを抱えていてもわかりません。勉強ができればいいというものではないです。私たちが、塾として思春期の子供たちの成長に大事な時期にかかわる者として、会話ができていないと目的を達することができません。私たちの目的は本人の成長によい影響を与えることです。そうして、人生の角度が一度でも変わってくれれば、と考えています。今の一度は小さくても、10年、15年たてば大きな広がりとなります。そんなことを目指しているのがこの塾の売りです。」という話をしました。今考えれば、もっとこうしたほうがよかったなどありますが…私はそのお母さんが求めている答えだったのか不安でした。

お母さんは無事本人の入会を決断してくれました。即決してくれたわけですが、帰りがけにお母さんは私に小声で言いました。

「実は本人に姉がいて、以前に姉が講習会を受講したことがあったんです。そのときに面談してくれた先生があまり信用できなくて入会はしなかったんです。この塾の売りを聞いたときに、しどろもどろで何を言ってるのかわからなくて、信用できなかったんです。」

ピンと来てしまい、私にこの面談を投げた先輩職員に聞きました。

「お姉ちゃんが以前に講習会を受けていたみたいですね?」私の意地悪な性格を物語る言い方ですね。

「そうなんだよ。変な質問ばかりするお母さんで、本人はやる気のかけらもないし、入会もしなかったなぁ。」

「あー、この塾の売りは何ですかって聞かれましたよ。」

「そんな質問されたかなぁ。」

という返答でした。きっとその職員にとっては思い出したくない記憶なのでしょう。その失敗から学んでほしかったのですが、本人のせいにしようという意思が見え見えで、そこに逃げる態度が気に食わないし、そういうことをしていると学んでもいないのでしょう。その職員にはその後も大変イライラさせられました。

そのお母さんとは、その後も良い関係を築くことができました。娘のことはすべて先生に任せます、と。本人がとても自立した生徒だったので、私が与えた影響は少なかったかもしれませんが、将来はバイオテクノロジーの研究をするという夢を持って、がんばっていました。つい先日、本人からその夢をかなえたという連絡があって、とてもうれしかったです。

 

私が若い時、つまり何も考えずにただ塾講師という職業を楽しんでいたときに聞かれた質問です。

この塾は進学塾ですか、学習塾ですか?

若いくせに「先生」なんて呼ばれて調子に乗っていた私は、少し鼻で笑ってからこう答えました。

「お母さん、私たちの世界では学習塾も進学塾も違いはないんですよ。塾名の前に入っていることでしかなくて、そんな違いなんてありません。ただ、みんな合格するために通っているから私たちは進学塾だと思います。」

それでそのお母さんは納得してくれたから私は何と運がよかったことでしょう。その後私は何も気にすることなく仕事をし続けました。何年も経ってから、突然このお母さんのことを思い出したのです。私の考えが大きく変わったと気づくポイントでした。ぜひ、面談で聞いてほしい質問の一つです。その先生が自分の塾のことをどう考えているかわかるからです。

この塾は塾名に進学塾と書いてありますが、進学塾なんですか?

合格がゴールと考えていれば、進学塾だと答えるでしょう。プライドだけが高くて何も考えていない人も進学塾だと答えるでしょう。進学塾と言ったほうが強そうでかっこいいからです。

私がこのブログの中で、塾、学習塾、進学塾と言葉を使い分けていることに気付きましたでしょうか。私は今、進学塾だと自信を持って言う塾の先生を信用しません。私が塾に求めるものは進学ではないからです。それはもちろん大事なことですが、塾で学ぶゴールは進学にあるのではなく、その先に広がっている未来にあるのです。本人が夢や希望をかなえる、そのために努力できる、そんな人間として大事なことを塾で学んでほしいのです。だから塾は自信を持って、学習塾です、と答えてほしい。進学が目的ではありません。もちろん希望の進学をかなえることは重要ですが、私たちが影響を与えることで本人の力がついて、進学という希望はかないます。つまり努力すれば進学自体はかなうものなのです。大事なのはその先です。成績優秀という生徒ばかりではありません。合格実績とかで広告に載せられるような学校にみんなが合格しているわけではありません。それでもその生徒たちが努力することを学ぶことで、進学よりも重要なことを身につけてほしいと願って日ごろの授業をしています。と、堂々と言ってくれる人のほうを信用します。

次からは具体的な質問を見てみましょう。